2010年08月01日

No.764 『新自由主義に先導された資本主義の行方』

   戦後例外なく大きな伸びを示した先進国の経済成長は、1970年代を境に鈍化してくる。 「新自由主義」 的経済政策は、この経済成長の鈍化を、投資=金融の活性化によって乗り切ろうとする。 経済的な新自由主義論の基本は、不景気は競争の拡大によるマネーゲームの活性化によって克服せよ、という考えである。 しかしこの試みは、結局のところ、実体経済から乖離した資金集めのゼロサムゲームとなって、バブルの円環的構造に帰着する。 
  資本主義は、総体としては、どこかの時点で高度な技術革新やエネルギー革命が生じると、成長の潜在力を作り出すが、この流れが弛む時期には、協調的な 「後退戦」 をはかるほかはない。 先進国は、自分だけは成長を維持しようとして投資を活性化する 「マネーゲーム」 に頼ろうとするが、まさしくそれはいわゆる 「合成の誤謬」 によって、全体としては大きな不合理 (バブルとその破綻) にはまり込むのである。 
  このような資本主義の調整の失敗は、資本主義の破綻や倒壊にいたるわけではない。 資本主義の調整の失敗は、むしろ、これを制御する手段がなくなって、資本主義ゲームをますます弱肉強食の覇権ゲームと化す。 そこでは、社会の流動性と多様性は失われ、階層の固定化が復活し、欲望と価値の一元化がいっそう進行する。 そしてそれが 「人間的自由の条件」 をますます逼塞させるのである。 
竹田青嗣 『人間の未来』





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posted by Vigorous at 15:35| 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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