2010年07月21日

No.754 『溜め』

   闘うことも、働くことと同様、膨大にエネルギー (溜め) を必要とする。 「不当な扱いを受けたんだから、怒こらなきゃいけない」 という怒りの強要は、 「誰だって、その気になれば再チャレンジできるはず」 というチャレンジの強要と基本的に変りはない。必要なことは怒りにしろ再チャレンジにしろ、それが可能になるまで 「溜め」 を増やすことである。そのプロセスを描かなければ、それらの強要は、結局種々のセーフティネットからの切り捨てに帰結する他ない。
  そうやって人々を切り捨てた結果、排除した人々から逆に切り捨てられたのが現実である。2007年参議院選挙の自民党大敗も、労働組合の組織率低下も、原因の一端はそこにある。それを 「浮動票の取り込みは難しい」 「非正規労働者の組織化は難しい」 と総括しているようでは、未来はない。逆説的な言い方になるが、闘うためには、戦わなくてもいい場所が必要であり、それが居場所である。
  国も、地方自治体も、企業も、社員も、学校も、家庭も、今や誰もが 「サバイバル(生き残り)」 を口にし、一瞬でも気を抜いたら負けてしまうと言う危機感を煽っている。その焦りや余裕のなさが (溜めの欠如が) ますます人を遠ざけている。多少でも余裕のあることが何か罪深い 「怠惰」 の証であるかのように、焦り、切り捨て、切り捨てられ、挙句の果てに自分で自分の首を絞めてしまっている。個人の (溜め) を増やせないのは、その組織や社会が 「溜め」 を失っている証拠に他ならない。
湯浅誠 『反貧困』





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posted by Vigorous at 22:07| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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