2010年06月29日

No.736 『子どもを現実から遮断する方法』

   我が国の両親、立法者、方々の育児学校の教師達が抱く最も堅固な信念の一つに、子供はすべからく剥き出しの現実との接触から遠ざけ、彼らに与えられるものは、すべて小ぎれいで空想的な形のものでなければならぬ、という考えがある。 最近の児童読物もこれと同様の欠陥を備えている。 つまりそれらの読物は、純粋な空想の世界を提示するのでなくて、自らが現実世界だと触れ込むものに、一種の愚かしい色彩を付与している。 子供に関する私自身の体験は、これとまったく別の見解に到達させる。 子供は空想が純粋でありさえすれば、つまりそれが現実の姿だと触れ込まぬかぎりそれを喜ぶが、彼らは空想と現実をはっきり区別する。 従って美しい童話を、それが事実であるかのように子供に提示する者は、子供がそのすりかえを見破るやいなや、彼の憤慨を買う。 子供は本来ごまかしを嫌うにも関わらず、通例それは年を取るにつれて消滅する。 それゆえ子供に不快な真実を知らせない慣行は、ほかならぬ大人にとっての率直さが苦痛であるゆえに作られるにすぎない。 社会が不快な事実を知らぬままですまそうとする結果はやがて社会全体の厄介を招く破目になるだろう。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





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posted by Vigorous at 22:08| 教育、心理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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