2010年06月14日

No.722 『人間の未来』

   もし人間の欲望が 「同一的」 なら、個々の人間が多様な関係をもつ 「社会」 というものは現れない。 そこでの社会は、ミツバチの集団のように、すべての人間が単一の目的を持ち、同じ労働と同じ行為の積み重ねを行うような社会 (=共同体) となり、そこでは人間の 「自由」 というものの条件が現れない。 
  社会が一つの大きな目的を持ち、そのことで人間の欲望と価値が均一化され、生の目標と意味が単一化するなら、人間の 「自由」 の本質はかぎりなく希薄になり、それは、単なる役割承認と個別的な欲望充足の可能性という場面にまで縮小されるだろう。 これに対して、多様な欲望と価値が存在し、したがって相互の調整と承認の努力があり、その努力が新しい人間的価値を作り、またそれが自由な文化と言論のゲームとして成立する場面において、はじめて人間的自由の新しい本質が展開するのだ。 
竹田青嗣 『人間の未来』





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posted by Vigorous at 23:08| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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