2010年05月16日

No.697 『多文化主義の内部矛盾』

   多文化主義の特徴は、諸文化の寛容なる共存を謳うが、それらを統合する普遍的な規範に関しては、積極的には何も語らず、無記のままにとどめておくところにある。 自由と開放性を主張する者にとっては、多文化主義は、こうした要請にかなった思想だが、ときにテロリストの温床ともなってきた、排他的な原理主義は克服されるべき思想にみえる。 だが、多文化主義の含意の徹底化が原理主義へと至るのだとすれば、どうであろうか。  
多文化主義は、多様な文化・規範を統合する理念や原理を積極的に提示するわけではない。 そのような理念や原理を積極的に打ち出せば、それは、特定の交響圏の文化にいわば汚染されており、その特定の交響圏に利するように機能しかねないからである。 
大澤真幸 『逆接の民主主義』





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posted by Vigorous at 09:15| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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