2010年05月12日

No.695 『日本の最低生活費』

   アメリカ政府は、2005年には基準額 (4人家族で約1万9900ドル) 、単身者で約9900ドル以下の収入しかない貧困層が、人口比12.6%、3695万人いると報告しており、ドイツ連邦統計庁は、人口の13%にあたる1030万人が、 「貧困の機器」 にさらされていると発表している。
  さらに、イギリスの捕捉率は90%であり、韓国政府は日本の生活保護に当たる国民生活基礎保障法から漏れている 「非受給貧困層」 を190万人と推計している。
  それに対して日本では、収入がいくら以下の水準だと貧困とみなすというような貧困指標 (貧困ライン) が存在しない。そのため、憲法25条に基づいて生存権を保障している生活保護法の定める基準 (生活保護基準) が、国の最低ラインを画する最低基準として機能している。
  2007年10月19日、厚生労働省はついに一般世帯の消費実態 (生活扶助支出相当額) と生活保護世帯の生活保護基準を比較する詳細な分析を公表した (「生活扶助基準に関する検討会」第一回資料) 。それによれば、所得の低い6〜7%の人たちは、生活保護世帯よりも貧しい暮らしをしていた。しかしながら、その分析結果は、貧困層の概算や捕捉率の推計、低所得者対策の基礎情報など、貧困問題の解消に結びつく方向で活用されることはなく、 「生活保護を受けていない貧乏な人たちがこれだけいるのだから」 と、生活保護水準 (最低生活費) 切り下げに向けた材料として 「活用」 された。貧困問題の公認のための材料となるどころか、最低生活費の切り下げ、国民生活の 「底下げ」 のための材料に使われた。この事実は、2007年段階における、日本政府の貧困問題に対する姿勢を如実に物語るものとして、人々の記憶に刻まれていい。
湯浅誠 『反貧困』





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posted by Vigorous at 20:28| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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