2010年04月18日

No.679 『無責任な 「おまえも頑張れ」』

   昔はみんな貧乏だったそれでも頑張ってきたんだ
  世間は厳しい。 甘えるな
  おれだって大変なんだ。 あんただけじゃない。

  こうした言葉は、日常的に耳にする。 そのとき人は概ね、いかに客観的な状況が大変だったとしても、本人の心がけ次第、頑張り次第で道は開け、我慢できる、という神話を反復している。 それは多くの場合、自分が頑張ってきたことを認めてもらいたい、という承認の欲求に根ざしているが、素直にそれを表現できない人たちは、しばしばそれを他者に対する叱責として表現する。
  大学受験に合格した人が 「それができたのは、高い教育費をかけてくれた親がいたからだ」 と考えることは少ないだろう。 やはり、 「自分で頑張って受験勉強に耐え抜いてきたからだ」 と考えるし、考えたい。 昔貧乏で今成功している人たちも、 「それができたのは、家族や地域・友人の有形無形の援助があったからだ」 と考えるよりは、やはり 「貧乏でもこつこつと頑張っていれば、必ずいいことがある」 と考えるし、考えたい。 それは自然なことでもある。
  困るのは、返す刀でそれが条件の異なる他者に向けられるときだ。  「自分も頑張ってきたんだから、おまえも頑張れ」 という言い方は、多くの場合、自分の想定する範囲での 「客観的状況の大変さ」 や 「頑張り」 に限定されている。 それはときに抑圧となり、暴力となる。
湯浅誠 『反貧困』





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posted by Vigorous at 17:09| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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