2010年03月15日

No.658 『無神論的な信仰の徹底化』

   聖王と呼ばれたルイ九世の十字軍は、途中で、ある老女に出会った。 彼女は、右手に火を、左手に水をもってさまよい歩いていた。 何をしているのかという問いに対する彼女の答えはこうであった。 「火は天国を焼き尽くすためのもので、あり、水は地獄の火を消し去るためのものだ」 と。 なぜなら、 「私は、人が天国での報酬への期待感や地獄での恐怖から善を為すことを望まない。 ただ、神への愛のためにのみそうして欲しい」 と。 天国や地獄を無化してしまっているのだから、老女の態度は無神論的である。 だが、それは、信仰の否定によってではなく、信仰の徹底化によってこそ導かれてもいる。 
大澤真幸 『不可能性の時代』





検索用kwd:
posted by Vigorous at 21:15| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
カテゴリ



注意
◆ このブログの内容は引用が中心ですが、知識の切り売りを目的としたものではなく、投稿者の備忘録として作成されています。皆さんは、ここに書かれた引用のみで満足することなく、なるべく原典に触れる習慣をつけてください。
◆ このブログでは、投稿者が独自に調査したデータや、知人から伝え聞いたエピソードなどが掲載されることがありますが、そのまま受け売りにせず、皆さん自身が事実関係を調査し、記事の真偽を見極めることができるように努力してください。
◆ ここは金言や名言を羅列することを目的にしたサイトではありません。どんな金言や名言も、羅列したとたんにただの展示物になってしまいます。長い引用も短い引用も、じっくり噛み締めて味わい、あなたの財産にしてください。アーカイブも一度にすべて読むのではなく、毎日少しずつ読むようにすると良いでしょう。



QRコード

リンク集
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。