2010年03月11日

No.655 『ヘーゲルとマルクス、近代国家』

   ヘーゲルの時代、ドイツはまだ統一国家として成立しておらず、領主層、教会、新興自治商業都市といった既成勢力の支配の下に多くの民衆があえいでおり、ヘーゲルが新しい統一ドイツに 「人倫国家」 としての可能性を見ていたのはごく自然なことだった。 
  しかし、一世代下ったマルクスでは、すでに 「近代国家」 は成立し、民衆の不満が、新しい国家の政治・経済構造に対する広範な異議として噴出していた。 人々が直面していたのは、 「相互承認」 の原理によっていかに調和的な近代国家を形成するかという課題ではなく、経済的不平等と、労働者、農民階級が陥ったおそるべき非人間的状態という問題だった。 この新しい社会矛盾の本質を把握しそれを改変することなしには、自由の開放という近代の理念自体が無意味なものとなる。 マルクスが、この問題を、国家支配の幻想性や 「搾取」 という概念で示したとき、それが思想的に圧倒的な説得力をもった理由はそこにあった。 
竹田青嗣 『人間の未来』





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posted by Vigorous at 21:59| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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