2010年03月03日

No.649 『自由に選択できない不自由』

   医療にかかるという選択肢が奪われている、という点で、基本的な潜在能力を奪われた状態にある、と言える。それが 「貧困」 だ、とセンは言う。
  「潜在能力の欠如」 (自由に選択できないという不自由) は、個人的な要因であると同時に、社会的・環境的な要因でもある。ニューヨークのハーレム地区でたまたま70歳や80歳まで生きる人がいるからといって、 「他の人たちには努力が足りない」 と、平均寿命の短さを早く死んでしまう人たちの自己責任で裁断することは妥当ではない。必要なのはその地域や個人の諸条件を改善して、長寿を可能にする環境を整えることだ。
  それゆえ、 「開発/発達」 とは、単に所得を挙げるだけでなく、のぞましいさまざまな生活状態 (機能) に近づくための自由度 (潜在能力) を上げていくことだ、とセンは言う。 「開発/発達の目的は、不自由の主要な要因を取り除くことだ。貧困と圧政、経済的機会の乏しさと制度に由来する。社会的窮乏、公的な施設の欠如、抑圧的国家の不寛容あるいは過剰行為などであさる」 と。
湯浅誠 『反貧困』





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posted by Vigorous at 20:31| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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