2010年01月25日

No.619 『「起源の位置」と「無知のヴェール」』

   ロールズは、 『正義論』 において、ある独特の設定を前提にすることさえできれば、万人が受け入れる普遍的な正義を導き出すことができる、と大胆に主張した。 
  彼が、 「起源の位置」 と呼ぶ、独特の設定の下での、民主主義的な合意によって、正義は基礎づけられる、というのだ。 起源の位置とは、すべての参与者が 「無知のヴェール」 を被っている状況である。 「無知のヴェール」 とは何か? 無知のヴェールを被るということは、自分が何者かということに関して、一切の知識を持たないということだ。 言ってみれば、自分の来歴に関して、完全に記憶を喪失していながら、しかし、判断や推論などの悟性的・理性的な能力を保持している状態、これが無知のヴェールを身につけた個人である。 自分が社会システムの中のどの位置にいるのか、どの位置で考え、どの位置から発言しているのかを知らない状態である。 自分がどの階級に属しているのか、自分の国籍は何か、人種や性別は何か、どんな家系に属しているのか、職業は何か等々を、一切知らないように行動すること、これが無知のヴェールを被ることだ。 
  要するに 「起源の位置」 とは、どこにも位置をもたないことなのだ。 このとき、位置に規定されたいかなる特殊な利害関心ももたず、また誰かに嫉妬したり、誰かを羨望したりすることもない。 
大澤真幸 『逆接の民主主義』





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posted by Vigorous at 20:32| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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