2010年01月23日

No.617 『不可能性の時代が構成する排除』

   現在の政治思想の空間は、両立不能な二つの立場に分解している。 「物語る権利」(多文化主義) と 「真理への執着」(原理主義) である。 両者は、不可能性の時代を構成する二つの傾向に対応している。 すなわち、前者は、超虚構化のベクトルに、後者は現実への逃避にそれぞれ対応している。 両者は対立しているが、しかし、共通の前提の上に成り立ってもいる。 対立のための地平が、ひとつの排除によって構成されているからだ。 排除されているのは 「破局」 である。 
  背反する二つの命題が同じ程度に説得的で妥当だとするならば、これらは、まさしくカント的な意味でアンチノミー (二律背反) を構成している。 このアンチノミーを克服するためには、対立の地平が成立しているときにはすでに排除されてしまっていることを、つまり 「破局」 の可能性を直視するほかない。 
大澤真幸 『不可能性の時代』





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posted by Vigorous at 17:48| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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