2010年01月20日

No.615 『形は変われど構造は変化しない、対立のありかた』

   われわれが現代社会において見ている政治思想上の大きな対立の枠組みは、たとえば進歩と保守、レフトとライト、自由と秩序などです。 もっと象徴的にいえば、 「資本主義」 対 「反資本主義」、「国家」 対 「反国家」 、「アメリカ」 対 「反アメリカ」 という構図が今最もアクチュアルかもしれません。 しかし、この対立は基本的に 「イデオロギー的」 な対立という性格をもっている。 つまりそれは、二者択一的選択を迫るような性格をもっている。 だがこの対立軸は、ちょうど、 「カトリック」 と 「プロテスタント」 のどちらが正しいか、という教義的な問いが、近代ヨーロッパが直面していた本質的な課題を表現できなかったのと似ていて、現代社会の本質的な課題を適切に表現するものとなっていないのです。 
  現在の資本主義は大きな欠陥をもっています。 しかし資本主義は 「自由競争」 という近代社会の経済原理を土台にしたものであり、これを完全に取り払うことは 「近代社会」 の土台を取り払うことであり、今のところ不可能です。 単に 「反資本主義」 の立場に立つことではなく、むしろ、いかに現在の資本主義の矛盾を克服するための具体的な社会原理を構想するかが重要であるはずです。 それが思想の本質的な役割であって、 「現在の世界は間違っており、自分はこの世界に反対する」 という立場に立つことこそ正しいといった思考は、まさしつ強いイデオロギー的性格を帯びるのです。 
竹田青嗣 『現象学は《思考の原理》である』





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posted by Vigorous at 20:25| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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