2010年01月16日

No.611 『浅田彰の『構造と力』』

   浅田彰さんは、 『構造と力』 という本を80年代の序盤(1983年)に出します。 この 『構造と力』 という本は、ある種の教科書というか、テキストというか、そういった体裁をもっています。 どういうことかというと、思想とか知、学というもの、それ自体を一種の消費社会的に消費されるような、消費の対象の一種として扱ってみせる。 おそらく浅田氏としては、知をこういうふうに消費することで、こういう消費事態がバカらしくなって、こうしたやりかたをアイロニカルな形で終らせる、というのが本来のねらいだったということになるのかもしれません。 しかし、結果的にはかえってこういう思想や知の消費のやり方を積極的に模倣する人々をたくさん生み出してしまったんです。 
  当時浅田さんのように軽いノリで知に新風を吹き込んだ若手学者は 「ニューアカ」 と呼ばれました。 ニューアカデミズムの略ですね。 ニューアカと呼ばれた人自身は、まだいいのですが、悲惨なのは、ニューアカから学んだ人たちですね。 つまり浅田さんが終らせようとしたことそのものを、まともに学習し、そのままやってしまった人たち。 まさに終息させようとしたものを、つまり消費社会的に知とか学問とか思想というものを消費するというスタイルを、かえって積極的に促進したことになったのが、 『構造と力』 という本になるわけです。 
  消費社会では、みんなが差異を求めている。 求めているけれども、それは相対的な差異でしかないから、結果的にはある種の同一性の中に回収されていく。 本当の驚きということはなくて、ちょっと驚かせている、むしろ本当は安心している。 
大澤真幸 『戦後の思想空間』





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posted by Vigorous at 17:29| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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