2010年01月14日

No.610 『「朝ズバッ」 と 「あるある」 の比較』

   マスメディアにとって 「捏造」 とは、強烈な 「印籠」 として作用するのです。 その極端な例が、2007年1月、フジテレビ系列の関西テレビの生活情報番組 「発掘! あるある大事典U」 での捏造問題とTBS系のニュース情報番組、 「みのもんたの朝ズバ!」 の捏造疑惑との比較です。 
  「朝ズバッ」では4月18日に、 「謝罪放送」 まがいの放送が行われました。 「誤解を招きかねない表現があった」 とした上で、 「やらせ捏造」 は否定し、さらに司会者が不二家の主力商品のミルキーを頬張りながら、 「スタジオのお菓子は全部不二家にしますから」 と前日に販売を全面再開した不二家製品の宣言をしたのです。 TBSのやり方は、公共の電波を使って、損害賠償請求をする可能性のある相手方に 「無償広告」 を行うことで賠償の代替措置をとろうというものであり、まさに、 「電波の私物化」 以外の何ものでもありません。 (中略) 
  不二家はTBSの 「朝ズバッ」 の一連のバッシング放送によって、企業の存亡の危機に立たされるほどのダメージを受けました。 このような重大な権利侵害が行われていたにもかかわらず、訂正ないし取り消し報道によって不二家の名誉の回復がはかられることはありませんでした。 TBSに対しては、総務省が4月18日に、TBSが 「朝ズバッ」 での不二家関連の報道について 「謝罪的放送」 を行って問題を一部認めた段階で、紙切れ1枚による 「指導」 をしただけです。 同社はそれ以外のペナルティを一切受けていません。 
  一方、関西テレビは、 「捏造」 の疑いをかけられた事を受けて、自主的に社内調査を行い、その結果をきちんと明らかにしました。 その結果、関西テレビは、総務省から放送法違反が認められたとして、行政指導としては最も重い 「警告」 を受けることになりました。 「あるある」 の虚偽の報道で、実際の被害を受けた人はどれくらいいるのでしょうか? もちろん報道を真に受けてせっせと納豆を食べた人は不快な気持ちになったでしょう。 ただ納豆そのものが健康に悪いわけではないですし、実際の社会的被害はそれほど大きくないはずです。 
  一方 「朝ズバッ」 の不二家報道では、一企業が存続の危機にまで追い込まれています。 不二家本体も山崎パンという別の食品会社の子会社になるという事態に追い込まれましたが、それ以上に打撃が大きかったのはフランチャイズ店です。 一連の問題による操業・販売の停止によって約20%の店が閉店に追い込まれ、経営者も従業員も職を失い、多くの店がなお経営不振に苦しんでいます。 そのすべてが 「朝ズバッ」 の報道のせいとまでは言えないとしても、一日平均15分にもわたって連日行われたバッシング報道による食品企業としてのイメージ悪化が大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。 
郷原信郎 『思考停止社会』





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posted by Vigorous at 21:26| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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