2010年01月04日

No.601 『自由と所有』

   ヘーゲルはまず、 「所有」 の概念から始める。 「所有」 こそは、人間の自由のもっとも基礎を成すもので、これがなければどんな自由も存在しえない。 具体的にはまず自己の身体の所有、そして自分と家族が生活する上で最低限必要な用材、つまり土地、家、家畜などの所有である。 「所有」 の発生こそ人間社会の元凶であるという考えは根強くある。 たとえばマルクスは、はじめに共同所有が自然なものとしてあり、私的所有は分業その他から現れた人為的制度だと言い、ルソーは、まず土地を柵で囲ってこれは自分のものだと宣言した人間からすべての争いがはじまったと主張した。 しかし私的所有が自然なものではないというのは、現在の資本主義の矛盾から逆算された考えである。 むしろ自己意識をもった人間の生活にとって財の所有は自然かつ基礎的だが、その度を越した占有が不自然なのである。 「所有」 は人間にとって不自然で人為的な欲望だということではなく、むしろより大きな 「所有」 への欲望こそ人間の本性だということであり、問題は、 「所有」 という観念を不自然なものとしていかに正すかではなく、所有を相互調整する相互承認の状態をいかに打ち立てるかにある。 
竹田青嗣 『人間の未来』





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posted by Vigorous at 20:03| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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