2009年12月23日

No.590 『普遍分業と普遍消費』

   富の蓄積は、農民からの生産物の収奪だけでなく、商業の振興による貨幣の蓄積 (それは商人と政治権力がシェアする) という要素が伴う。 だからふつう人は、商業の発展が貨幣を増やし、その結果王国の宝物殿には金銀財宝が蓄えられ、それが国を富ませると考える。 しかし実際には、商業はただ、財 (商品) をあちらからこちらへ移動させるだけであって、それ自体では何ら社会の富を増やすことはない。 むしろ、交易から得られる大きな利潤が動機となって、分業による財の増産がつねにうながされること、これが社会の富の総和を拡大させるのである。 
  だが、もう一つ重要なことがある。 普遍交換と普遍分業の相互的なサイクルは、じつはそれだけでは持続できない。 普遍交換が普遍分業と財の増大を支えるのだが、このサイクルはまた、 「普遍消費」 によってはじめて支えられるということだ。 普遍交換-普遍分業のサイクルが持続的な拡大を続けるためには、 「普遍消費」 つまり増大した生産財が広範な民衆によってたえず消費される、ということが不可欠だからである。 それがなければ、増産された財は売れ残り、交換も分業も縮小してゆくことになる。 
竹田青嗣 『人間の未来』





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posted by Vigorous at 11:24| 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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