2009年12月05日

No.580 『社会の 「ほんとう」 から生き方の 「ほんとう」 へ』

   フランス革命が象徴するのは、 「革命」 への情熱につかまれた大衆の新しい超越性である 「絶対自由」 の観念です。 しかしこれはいわば 「完全な美しさ」 とか 「完全な世界」 とか 「完全な人間」 とかいうのと同じで、実現不可能な理念であり、その実現を強行しようとすると、 「恐怖政治」 に帰結します。 ちなみに、歴史はこの悲劇を繰り返しています。 フランス革命から一世紀たって今度は 「絶対平等」 の理念はスターリンやポル・ポトなどの 「粛清政治」 に行きついたし、またヨーロッパを理想化しようとする民族の使命という理念はユダヤ人のホロコーストを生み出しました。 
  ともあれ、絶対理念の不可能性を自覚した近代精神は、完全な社会の実現という 「ほんとう」 を捨てて、いわば自分の生き方の 「ほんとう」 へと向かう。 これが近代の 「道徳意識」 の本質である、とヘーゲルは言います。 これはまさしくカント的な 「道徳」 の理念を意味します。 ところが 「道徳」 の意識には大きな弱点がある。 それは一方で、自己自身と 「理想的なもの」 「完全なもの」 との一体性を見出そうとする自己意識的な動機をもっているということです。 つまり、それは 「善き存在、立派な存在でありたい」 という自己価値への欲望を動機としている。 
竹田青嗣 『現象学は《思考の原理》である』





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posted by Vigorous at 10:04| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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