2009年11月29日

No.576 『裁判員制、参審制、陪審制』

   裁判員制度は、諸外国の制度と比較しても特異なものです。 職業裁判官と非裁判官の双方が参加し、量刑も含めて判断するという面では、ヨーロッパ各国の参審制に近いのですが、これらの多くは団体等の推薦によって参審員が選ばれ、しかも任期制であるのに対して、裁判員制度は、裁判員が事件ごとに選挙人名簿から無作為で選ばれます。 
  参審制を採用するヨーロッパ各国は死刑を廃止しており、量刑についての判断には死刑は含まれません。 無作為に抽出された一般市民が死刑も含む量刑判断をも行うという点で、日本の裁判員制度は、ヨーロッパ各国の参審制度とも大きな違いがあります。 一方で、裁判員制度は、職業裁判官にも評決権が与えられている点、被告人に選択権が与えられていない点、事実認定のみならず量刑も対象にしている点などが、陪審制とは決定的に異なります。 
  アメリカの陪審制では、被告人に、陪審制度を選ぶかどうかの選択権が与えられています。 これは、 「国家からの自由」 を重視するという観点から、 「職業裁判官による裁判」 ではなく 「市民による裁判」 を選択する権利を認めるという考え方が背景になっています。 被告人の権利保障とは無関係に、国民が参加する刑事裁判を実現すること自体を目的とする日本の裁判員制度とは基本思想が異なります。 
郷原信郎 『思考停止社会』





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posted by Vigorous at 11:01| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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