2009年11月01日

No.554 『利子』

   利子を取るほうが悪いという感覚は、簡単に言えば、ずるいということ、アンフェアであるということですね。 なぜアンフェアかというと、貸すときと返すときでは、異なる基準が採用されているように見えるからです。 規範とかルールというのは、時間的に持続する一貫性がなくてはならない。 行為のたびに変化していては規範やルールとして成立しえないのです。 規範やルールが同一であり、その下での同一性が持続されるからこそ、過去の行為に対して、私たちは現在において責任を問われるわけです。 利子が不正だと判断されたのは、こうした、規範やルールの一貫性が損なわれているように見えるからです。 逆に、一定の利子を取ることが自明視されているシステムでは、規範やその下にある経験可能領域が変化していくことが容認されているということです。 
  通常、社会システムは、経験可能領域が定常であるがゆえに、崩壊せずに、安定性を保てるわけです。 がしかし、 「資本主義」 という社会システムは、これとは違い、経験可能領域が常にダイナミックに変化していくということ、そのことを通じて安定性を保っている。 つまり常に変化しているがゆえに定常でありうるようなシステムが、 「資本主義」 です。 そして、経験可能領域のこうした変化を許容し、また促進するようなシステムの下でなければ、経済的な局面で、利子が正当化されないし、そもそも余剰価値が発生しないわけです。 
大澤真幸 『戦後の思想空間』





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posted by Vigorous at 17:51| 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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