2009年10月30日

No.553 『裁判員制度』

   それが何のためのものなのか、何を目指しているのか、ということもよくわからないまま、日本の刑事裁判の根幹を揺るがしかねない制度が導入されてしまいました。 選挙人名簿から無作為に抽出された裁判員が刑事裁判に参加し、死刑を含む量刑の判断まで行うという、 「裁判員制度」 です。 ここにも、 「民主化」 は、やった方がやらないより良いという単純な発想、つまり 「民主化」 の 「印籠」 があります。 
  法令の背後には必ず何らかの社会的要請があり、その要請を実現するために法令が定められているはずです。 しかし、裁判員制度の導入を決めた 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」 は、それが、いかなる社会的要請のためのものであるのかよく分かりません。 
  組織の内部から 「やめよう」 という声があがらないのは、ここでも 「法令順守」 が立ちはだかるからです。 裁判員制度が導入され、2009年5月に施行されることを定めた法律がすでに成立してしまっているからです。 裁判員制度の導入によってどういう事態が生じるかもっともよく知っているはずの裁判所、法務・検察の組織に所属する人たちは、職務の性格上まさに 「法令順守」 の中心に位置する立場です。 法律がすでに成立してしまっている以上、組織をあげて実施に向けての取り組みをしていかなければなりません。 「この制度はダメだ」 「実施すべきでない」 などと口が裂けても言えないのですが、内心は、 「誰か止めてくれ」 と思っているはずです。 
郷原信郎 『思考停止社会』





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posted by Vigorous at 23:46| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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