2009年10月14日

No.539 『愛と距離』

   贈与の直接性ということのポイントは、他者を近きにおいて遇するということである。 遠くの他者を愛することは、簡単なことである。 他者に近づくということは、他者の、ときに嫌悪感すらもよおしかねない攻撃性や俗悪性を目の当たりにするということである。 そうした試練に耐えて、その他者を愛し続けることは、困難なことだ。 逆に言えば、他者を、適当な距離をおいたまま愛そうとすることは、その愛が本物ではないことをこそ含意しているだろう。 もし誰かに 「あなたを愛しているわ、でもあまり近くに寄らないでね」 と言われたら、あなたは、まず間違いなく、ほんとうは愛されていない。 
  他者を遠ざけておけば、容易にさの他者を神秘化したり、理想化することができるのであり、そうしたことの効果を借りて、他者を欺瞞的に愛し続けることは、さして難しくはない。 それに対して、身体的接触が可能なまでに近くにいても、なお他者を愛することができるか、ということが愛の真実性を検出する試練となろう。 
大澤真幸 『逆接の民主主義』





検索用kwd:
posted by Vigorous at 20:14| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
カテゴリ



注意
◆ このブログの内容は引用が中心ですが、知識の切り売りを目的としたものではなく、投稿者の備忘録として作成されています。皆さんは、ここに書かれた引用のみで満足することなく、なるべく原典に触れる習慣をつけてください。
◆ このブログでは、投稿者が独自に調査したデータや、知人から伝え聞いたエピソードなどが掲載されることがありますが、そのまま受け売りにせず、皆さん自身が事実関係を調査し、記事の真偽を見極めることができるように努力してください。
◆ ここは金言や名言を羅列することを目的にしたサイトではありません。どんな金言や名言も、羅列したとたんにただの展示物になってしまいます。長い引用も短い引用も、じっくり噛み締めて味わい、あなたの財産にしてください。アーカイブも一度にすべて読むのではなく、毎日少しずつ読むようにすると良いでしょう。



QRコード

リンク集
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。