2009年09月04日

No.506 『場所の移動について』

   ヨーロッパで旅行をすれば、すぐ国境を越えて異なった文明の世界に入るに反し、ニューヨークからロサンゼルスまでの3000マイルはの旅は、この点でドーバーからカレーまでの21マイルの旅よりも変化は少ない。 国境を越えてメキシコに入れば、完全な変化が体験されることは確かであるが、アメリカ人はメキシコ文明から何か学ぶべきものがあるとは思っていない。 ヨーロッパには他国に対するこのような露骨な優越感はない。 したがってヨーロッパで旅行をすれば、自分の視野を広げ、自己の共感を広め、人間に関する知識を増やすという結果が生まれよう。 この効果は、自分が訪ねるその外国の住民と重要な関係を持つような仕事のために旅行をする人達の場合には生ずるが、単に旅行のために旅行をする人の場合には生じない。 旅行のために旅行をするこれらの人は、金持ちならば、世界中どこへいってもまったく同じような国際ホテルに泊まり、自国ですでに顔見知りの旅行者仲間と交際をする。 彼らが貧乏ならば、彼らは通例旅行先の土地の人々との事務的交渉の労さえ省いてくれる案内人付きの団体旅行をする。 彼らは、絵葉書と列車網だけを体験して帰国する。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





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posted by Vigorous at 22:59| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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