2009年07月24日

No.0466 『北朝鮮を民主化する』

   日本は、外交上の努力によって、北朝鮮の国境を可能な限り開放的なものにするのだ。 南の国境線は、軍隊によって厳しく守られているので、亡命者にとってより重要なのは、北の国境線であろう。 実際、いわゆる 「脱北者」 は、主として北の国境線を超えようとする。 
  北朝鮮自身が、亡命者を出すまいと努力することに関しては、さしあたっては、われわれとしては仕方がない。 しかし現在は、中国に脱出した難民は、発覚される度に、北朝鮮に強制送還されている。 これをやめさせなくてはならない。 つまり、日本は、中国および韓国を説得して、三国で、北朝鮮からの亡命を、すべて無条件に受け入れればよいのだ。 
  一度に大量の (おそらく1000人規模の) 亡命が可能であることに関する確証を北朝鮮の人々が得たときこそ、北朝鮮の人々を支配していた 「第三者の審級」 が、自らの死を悟り、解体することになるだろう。 問題は、中国と韓国への、とりわけ中国への説得の成否である。 最も効果的な方法は、まず、日本自身が、北朝鮮からの難民を、いくらでも (何千人でも何万人でも) いけ入れる用意があることを宣言してしまうのだ。 中国としては、脱北者を、せっせと北朝鮮に送還する代わりに、日本に送ればよいことになる。 中国には、ほとんど余分な負担はかからない。 だが、そんなことをしたら、日本は北朝鮮からの難民であふれ、大きな混乱のもとになるではないか、と恐れるむきもあるだろう。 しかし、おそらく、それは杞憂に終ることであろう。 日本がそれだけの覚悟を示せば、韓国は、日本以上に積極的になるに違いないからだ。 難民のほとんどは、日本に住むことよりも、韓国に住むことを選好するだろう。 
  その後は、北朝鮮国内で、自立的に民主化運動が起こるだろう。 大量の亡命が可能であるという事実そのものが、北朝鮮の体制 (を指示していた第三者の審級) が既に死んでいたということの告知になるからだ。 潜在的には既に死んでいたものが、現実に死ぬことになるのだ。 金正日体制が倒れ、北朝鮮が民主化されれば、それは、直ちに、朝鮮半島の統一へとつながっていくに違いない。 
  しかし、それでも、たいていの人は、 「今すぐ」 の統一を望んでいないのではあるまいか。 2000万もの人口を抱える最貧国と合体することは、韓国経済にとって、きわめて大きな負担になるからだ。 多くの韓国人は、現在は、統一には時期尚早であると考えているように見える。 北朝鮮の経済と政治がもう少しましになるのを待って、ゆっくりと、何段階にも分けて統一を図るというのが、多くの韓国人の本音かもしれない。 
  ここで、もう一度、日本が働くべきではないか。 すなわち、日本は、大規模な経済援助によって、朝鮮半島の統一に伴う莫大なコストを、一部担うのだ。 場合によっては、これを、 「戦後補償」 として行ってもよいかもしれない。 朝鮮半島の分断という悲劇は、結局、日本による植民地化にこそ、究極の原因があるからだ。 そうすれば、これこそ、最後の、そして最大の、戦後補償になることであろう。 
大澤真幸 『逆接の民主主義』





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posted by Vigorous at 23:27| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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