2009年07月18日

No.0460 『ニーチェの超人思想』

   ニーチェの見立てでは、二元論は現状を否定することから一足飛びに世界そのものを否定すること (現世否定) に向かったのだと考えられます (現世否定+現状否定) 。 今この場所から世界の背後へと逃げ出そうとするのです。 
  確かにこの世の中には嫌なことや悪いことがしばしば起こります。 でも、だからといって、この世界はそもそも嫌な場所であり、悪の坩堝 (るつぼ) なのだ、ということにはならないはずです。 ですから今の状況下でなるべく苦痛の少ない楽な生き方を選ぶのが最善となるのです (現世否定+現状肯定) 。 
  超人思想は 「現世肯定+現状否定」 という形になります。 現状がいかに悪くとも、将来より良い人間 (超人) が生まれるために貢献すべきであって、世界の背後に逃避してはならない、と (現世肯定+現状否定) 。 
  こうして見てくると、もう一つのタイプがあることが分かります。 「現世肯定+現状肯定」 です。 「おしまいの人間」 と呼ばれる人たちが代表している立場です。 彼らは 「パンとサーカス」 を求めるだけで現状に満足しきっている存在であり、現状を嘆いたり現世を否定するような批判精神さえ持ち合わせていません。 それはほとんど動物と同じようなものであって、 「最低の軽蔑すべき者」 とツァラトゥストラに言わしめる者たちです。 
  ですから、この世を否定して永遠の世界というフィクションを求めたり (現世否定+現状否定) 、なるべく不快なことを避けて縮こまって生活するのでもなく (現世否定+現状肯定) 、また、現状に満足しきって堕落してしまうのでもなく (現世肯定+現状肯定) 、人間が将来より良き存在となるために努力しなさい、とニーチェは言っているのです。 
左近司祥子編 竹内剛史著 『西洋哲学の10冊』





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posted by Vigorous at 18:27| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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