2009年07月16日

No.0457 『不二家』

   牛乳の期限表示は、例外的に消費期限表示の対象となる低温殺菌牛乳をのぞくと、通常賞味期限です。 不二家が原料に使用する牛乳は、UHT殺菌という超高温殺菌の牛乳だったので、本来は賞味期限表示の対象なのですが、不二家の埼玉工場では、原料牛乳の一部に、集乳缶という金属製の非密封容器を使っており、工場内での雑菌の混入の可能性が完全に否定できない理由で、原料メーカーは製造日から五日という消費期限の表示をしていたのです。 
  しかし不二家では、この集乳缶方式の原料牛乳は、すべて加熱工程を経る商品だけに使い、十分な衛生管理をしていました。 問題になったシュークリームもそうです。 そして最終的には菌検査を行って安全性を確認していました。 そういう意味では、消費期限の表示にはなっていましたが、全体としては、仮にこの消費期限を1日超過したとしても、安全性、品質は十分に確保されていました。 しかし、いったん火がついたマスコミの 「隠蔽」 批判は、なかなか治まりませんでした。 その多くの報道が、食品衛生法や食品の製造実態についての無理解や誤解に基づくものでした。 埼玉工場での生菓子製造に関しての基準違反、細菌数、苦情件数からはじまって、一般のクッキー、チョコレートの異物混入、フランチャイズチェーンでの消費期限切れ材料の使用の事実などが、きわめて不正確な内容で次から次へと報道され続けました。 中には、食品中に含まれる 「細菌数」 についての検査指標に過ぎない 「大腸菌」 を重大な健康被害に結びつく 「大腸菌」 と混同して、 「大腸菌を検出しても回収せず」 などという表現で報道したメディアもありました。 
  「朝ズバッ」 の不二家バッシングの中で、みのもんた氏が、 「こういう問題を起こした不二家の製品は店頭から撤去すべき」 というような発言を繰り返したこともあって、不二家製品は、全国のスーパー、コンビに等の売り場から撤去されました。 そして1月末には缶飲料まで販売停止とされ、不二家は製造・販売の全面停止に追い込まれました。 問題とされた事実は、単なる形式的な社内規準違反に過ぎず、しかも、作為的な隠蔽を図ったわけでもないのに、不二家は 「隠蔽」 を理由に猛烈なバッシングを受け、企業としての存亡に関わる事態にさらされたのです。 
郷原信郎 『思考停止社会』





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posted by Vigorous at 00:06| 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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