2009年06月26日

No.0439 『個体差のないウィルス』

   ウィルスは、細菌や単細胞生物よりもずっと小さい。 大腸菌をラグビーボールだとすれば、ウィルスはピンポン球かパチンコ玉程度のサイズとなる。 光学顕微鏡では像として見ることはできない。 ウィルスを 「見る」 ことができるようになったのは、電子顕微鏡が開発されてからである。 科学者は病原体に限らず、細胞一般をウェットで柔らかな、大まかな形はあれど、それぞれが微妙に異なる、脆弱な球体と捉えている。 ところがウィルスは違っていた。 優れて幾何学的な美しさをもっていた。 あるものは正十二面体の如き多角立法形、あるものは繭状のユニットがらせん状に積み重なった構造体、またあるものは無人火星探査機のようなメカニカルな構成。 そして同じ種類のウィルスはまったく同じ形をしていた。 そこには大小や個性といった偏差がないのである。 なぜか。 それはウィルスが、生物ではなく限りなく物質に近い存在だったからである。 
福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』





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posted by Vigorous at 23:04| 自然科学、環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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