2009年06月15日

No.0429 『野口英世』

   パスツールやコッホの業績は時の試練に耐えたが、野口英世の仕事はそうはならなかった。 数々の病原体の正体を突き止めたという野口の主張のほとんどは、今では間違ったものとしてまったく顧みられていない。 
  野口は当時、見えようのないものを見ていたのだ。 狂犬病や黄熱病の病原体は当時まだその存在が知られていなかったウィルスによるものだったのだ。 自分を受け入れなかった日本への憎悪と、逃避先米国での野心の熱が、野口の内部で建設的な焦点を結ぶことがついになかったように、ウィルスはあまりにも極小すぎて、彼の使っていた顕微鏡の視野の中に実像を結ぶことはなかったのである。 
福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』





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posted by Vigorous at 21:33| 自然科学、環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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