2009年06月03日

No.0421 『感情と言葉』

   私たちは自分の人生を、何となく一つのお話のようにまとまったものとして考え、そして生きています。 ところで、何が私たちの人生にそうした統一性を与えているのでしょうか? ルソーによれば、それは 「感情」 です。 これはごく当たり前の考え方だと思われるかもしれません。 ところが、そうでもないのです。 実のところ、私たちの人生にまとまりをもたらしているのは 「言葉」 です。 言葉にしてみたとき、はじめて人生は統一性を持ちはじめます。 
  ルソーは感情を重視した−これだけだったら、ルソーはそう考えたというだけで終わりです。 問題は、ルソーは言葉で自伝を綴っている (『告白』) 、ということです。 
  ルソーは言葉を軽視し、感情を重視しました。 ではなぜ彼は、その感情のつながりを言葉に変えていくのでしょうか。 それは、やはりそうしなければ、人生はくっきりとしたかたちを取ってくれないし、自分のことを相手に伝えることもできないからです。 私たちの人生の真のまとまりはどこにあるのだろうか? 感情のうちに? 言葉のうちに? それとも、それ以外のどこかに? 
  言葉のうちに、とは答えないのが普通だと思いますし、ルソーもそう考えてはいません。 彼によれば、言葉にされる以前に、どこかに本当のまとまり (感情のつながり) があって、言葉はそれを不器用に写し取っているだけなのです。 しかし、言葉が侵入してくる以前の純粋な状態、心の 「自然のままの真実の姿」 など、もはや私たちには容易に見出すことはできない、そう考えたのもまたルソーです。 
左近司祥子編 『西洋哲学の10冊』

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posted by Vigorous at 20:08| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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