2009年05月02日

No.0395 『社会契約』

   人間が自由になったのだから、国家などという権力を作るのはやめて、みな自分の力で 「自由」 に暮らせばよいではないか、と思う人がいたら、その人は哲学者としてはまず落第である。 ルールは基本的に人間の自由を縛っている。 ルールを取り払えばもっと自由になるはずだ。 誰でもそう考えたくなるが、じつはそれは大きな勘違いなのだ。 たしかにルールを少なくするほど、各人の自由は増す。 しかし各人の自由をそのように開放すればするほど、それは結局、 「強いものの勝利」 ということに帰結するからだ。 簡明な原理だが、これに気づかない人は多い。 
  人間は 「自由」 になった。 しかし社会的ルールなしには、それが普遍的な 「強者の自由」 と 「弱者の犠牲」 ということに帰する。 また当然のことだが、ルールは実力によってのみ保障される。 この公的なルールを確保する実力が 「権力」 と呼ばれる。 そこで各人が自分の 「自由」 を確保するための正しい方程式は一つだけだ。 全員で自分の 「自由」 を一つの政治権限に委託し、この権限によって権力を設定し、全員が対等の 「自由」 を確保できるようなルールをつくることである。 
  これがルソーの 「社会契約」 の考え方の骨子である。 
竹田青嗣 『哲学ってなんだ』





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posted by Vigorous at 22:19| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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