2009年04月19日

No.0384 『デリダ派的なアメリカ』

   今日では、ヨーロッパとアメリカとは、異なった世界観に立脚している。 その相違の端的な表現が、軍事力の圧倒的な相違である。 ヨーロッパはハーバーマスに、アメリカがデリダに対応している。 たとえば、ナイフのような弱い武器しか持たない者 (ヨーロッパ) は、森で凶暴な熊に会うのを恐れる。 熊に出くわさないことを願い、ついには熊そのものを否認するかもしれない。 他方、ライフルのような強力な武器を持つ者 (アメリカ) は、熊に出会えば、その熊と戦うだろう。 
  ヨーロッパは、熊がいない世界を想定している。 特定のルールを遵守した、合理的な討議に応ずるような他者しか存在していないこの世界が、ハーバーマス的であることを理解するのは容易なことであろう。 
  アメリカがデリダ的だというのは、どういうことであろえか?  アメリカが想定しているのは、熊が跋扈(ばっこ)しているかもしれない世界である。 その意味で、アメリカは、デリダ派と同様に、暗黙の共有された規範が他者の他性を最初から適当な範囲に収容しているということを期待してはいけない。 だが、問題はの後だ。 「合理的な討議」 を規制する不文律にすら従わない他者と関係することなど、とうていできず、結局、これを排除するほかない、というわけである。 
大澤真幸 『逆接の民主主義』





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posted by Vigorous at 19:54| 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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