2009年04月13日

No.0379 『コペルニクス的転回』

   カントは人間の認識を構成する基礎的エレメントの分析を開始します。 人間の能力は理性だけではありません。 広い意味での理性の対概念を 「感性 (直感) 」 といいます。 感性とは、見たり、聞いたり、触れたりして、直接に直感データを受け取る能力の総称です。 それらはわれわれに感覚データを、認識の素材として与えてくれる唯一のものです。 素材がなければ認識は無内容なのです。 問題は、感性の基礎的なエレメントです。 それをカントは 「時間」 と 「空間」 としました。 というのは、どの感覚能力によるどんなデータも、時間と空間において以外には与えられないからです。 その意味で、時間と空間はわれわれの感性のアプリオリな形式です。 アプリオリとは、 「経験に先立つ」 ことを意味しますが、それは 「普遍的」 で 「必然的」 な学問的認識の条件なのです。 なぜなら、逆に、経験に由来するものには、普遍性も必然性も期待できないからです。 
  時間と空間が感性の形式だということは、それらが一般に考えられているような認識される客体の持つ性質ではなく、認識するわれわれの主体に属する性質であることを意味します。 とすると、ここで一挙に主客転倒して、認識される客体は、すでにわれわれの性質が刻印されたものとなります。 これをカントの 「コペルニクス的転回」 といいます。 そのような時間と空間を軸とする座標系をカントは 「現象」 と呼びました。 それに対して、時間と空間が刻印されない、現象が現象となるための元を、現象の背後にある 「物自体」 と呼びました。 
左近司祥子編 『西洋哲学の10冊』





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posted by Vigorous at 21:32| 哲学・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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