2009年04月12日

No.0378 『現実からの逃避』

   非常に若い人達は概して知識を吸収するために本を読み、大人になった人達は自分の抱いている偏見を確認するために本を読む。 しかし本を読む人のほとんどは、知識や自分たちの見解の裏付けを求めて読書をするのではなく、現実から空想の世界への逃避のために読書をする。 モーツァルトは幻想の世界に逃げ込んで、借金取りと借金を忘れたいがために作曲にはげんだ。 もしもモーツァルトが著名な精神分析医たちの助言に従っていたならば、作曲するかわりに、収入と支出からなる貸借対照表を注意深く作成し、収支が釣り合うような家計の確立に努力したにちがいない。 モーツァルトがそうしたならば彼自身は収入を失わず、われわれは彼の音楽を失ったであろう。 モーツァルトの場合のように現実からの逃避が、それとして自覚された空想の世界の中へ試みられ、現実を耐え抜くための手段として活用されれば意義あるものとなる。 現実逃避のこの種の動機がなかったならば、この世に存在する最も素晴らしいものは大部分生まれていなかったであろう。 従って、現実逃避をしたいというこの種の欲望が動機で本を読む人達は、逃避をしているという理由で非難されるべきではないと思う。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





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posted by Vigorous at 16:38| 教育、心理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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