2009年03月31日

No.0367 『心身二元論』

   世界は実存すると信じてよいのです。 言い換えれば、 「私は考える」 から出発した考察のあとで、その真の本質についてのみ実在しているものとされるのです。 ではその本質とは何でしょう。 それは、幾何学や数学で明晰・判明に扱えるような 「延長」 であり、その上でさまざまな大きさや形をもって動く 「物体」 です。 それ以上のものは含まれていません。 これがさまざまに組み合わさって天空から地上に至るすべての現象を形作っている、というのが世界の実相なのです。 
  だからデカルトは世界を大きな機械として捉え、身体もまた複雑だけれど結局は機械の一種なのだと捉えます。 (中略)  このようにデカルトは、一方的に見える 「精神」 としての私、もう一方に 「モノ」 としての自然を置いて、二つをきっぱり分けました (心身二元論) 。 
  デカルトにおいて、客観的な科学と、主観的で主体的な哲学とは、分かちがたく結びついています。 その後、近代科学はひたすら 「客観」 を求め、ある種の近代哲学はただひたすら 「主観」 に閉じこもります。 
  デカルトはあえて一人称の 「私」 でこの序説を語ったのです。 そして 「私」 が語るからこそ、それを読むあなたは、その 「私」 を自分自身の 「私」 と比べつつ、また重ねながら、デカルトの語りに導かれて、あなた自身が自分で 「本当のこと」 を確かめるように誘われることでしょう。 きっとそこに 『方法序説』 が読み継がれる理由があります。 
左近司祥子編 『西洋哲学の10冊』





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