2009年03月26日

No.0358 『権力者の病』

   妄想性パーソナリティ障害は、古代ローマの昔から、独裁者に多い病でもある。 絶対権力を手にした万能感と、いつ裏切り者によって権力の座を奪われるかもしれないという不安が、独裁者の心を蝕んでいく。 
  ネロのような古代ローマの帝王から、ロベスピエール、クロムウェルといった恐怖政治家、さらには最近のスターリンやフセインといった独裁者まで、共通するパーソナリティの構造が認められるのである。 秘密警察の暗躍や裏切り者の粛清は、独裁者の死か失脚まで続く。 これは一国の独裁者だけにいえることではない。 ワンマン型の多くの経営者や管理職の人も陥りやすいワナだ。 
  自分の地位と権力を守ることが第一関心事であるため、部下も心からは信用できない。 背信がないか、敵方に走ったり、将来のライバルにならないか、不安を抱いている。 したがって、部下を見るのは、部下の仕事ぶりではなく、どれだけ忠義に励んでいるかという点になる。 部下が建設的な意見を述べようが、その採否は、意見の中身ではなく、自分の意向を汲んでいるかどうかで決まる。 そうなると、やる気のある人材は去り、無能で、おべっか使いのイエスマンだけが残る。 
  偉くなって、管理職になると人柄が変ってしまう人がいる。 自己保身に汲々とするあまり、疑り深い思考ばかりが発達し、仕事の中身よりも、自分が失脚したり、責任を取らされることばかりを怖れて、その防衛に腐心するのである。 
  そうした人物を上司に持つと、部下は最悪である。 生産的な改革や向上ではなく、欠点やアラ探しばかりになってしまうのだ。 部下も守りを固め、新しい試みに臆病になってしまう。 こういう人物は、人望がないにもかかわらず、減点法で採点するとボロを出さないので、しぶとく出世したりする。 
岡田尊司 『パーソナリティ障害』





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posted by Vigorous at 22:38 | TrackBack(0) | 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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