2009年03月19日

No.0343 『災難がうれしいのはなぜか』

   人間の十中八九までが、ちょっとした災難に見舞われると、なんとなく楽しくなるのは奇妙なことである。 だが私は第一次世界大戦が勃発したときのことをはっきり覚えている。 その時の世間の人の心理状態は、まさにひどい霧に見舞われたときのそれであり、おたがいににぎやかにはしゃぎ合う心理状態であった。 勃発直後の何日かは、迫り来る恐怖の予想に打ちひしがれた人は殆どいなかった。 気楽な信頼が、当時の参戦国全体の国民に共通な気分であった。 戦争が始まれば恐怖におののくはずの人間が、この不思議な幸福感にひたりきる事実には二通りの説明が可能である。 まず第一は刺激が欲しいことである。 たいていの人間は、退屈な仕事に追われてうんざりしている。 第二は共感が欲しいことである。人間は誰しも自分のことで頭が一杯で、他人のすることはうるさいし、退屈であるし、概して面白くもなんともない。 だが、共通の感情が集団全体を動かす場合もある。 このような場合には、共通の感情がそれ自体快適でなくとも、全員が同じ感情を持つというだけで、他では経験できない一種独特の幸福感に皆がひたる。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





検索用kwd:バートランド・ラッセル
posted by Vigorous at 21:47 | TrackBack(0) | 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
カテゴリ



注意
◆ このブログの内容は引用が中心ですが、知識の切り売りを目的としたものではなく、投稿者の備忘録として作成されています。皆さんは、ここに書かれた引用のみで満足することなく、なるべく原典に触れる習慣をつけてください。
◆ このブログでは、投稿者が独自に調査したデータや、知人から伝え聞いたエピソードなどが掲載されることがありますが、そのまま受け売りにせず、皆さん自身が事実関係を調査し、記事の真偽を見極めることができるように努力してください。
◆ ここは金言や名言を羅列することを目的にしたサイトではありません。どんな金言や名言も、羅列したとたんにただの展示物になってしまいます。長い引用も短い引用も、じっくり噛み締めて味わい、あなたの財産にしてください。アーカイブも一度にすべて読むのではなく、毎日少しずつ読むようにすると良いでしょう。



QRコード

リンク集
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。