2009年03月17日

No.0340 『オウムとオタク』

   オウム真理教団とオタクとの密接なつながりは、よく知られている。 
  通常、宗教的な建築物は、崇高性を演出するために、さまざまな意匠が凝らされるものだが、サティアンには、まったく意匠らしいものはない。 そして、それは、窓がほとんどない閉じられた空間であった。 建物の中は、極端に雑然としている。 ならば、オウムは視覚的な美しさやデザインに興味がないのではないかと考えたくなるが、そうではない。 信者たちは、制服、着ぐるみ、ビデオ、アニメなど、建築以外のものには、凝ったデザインを施しているからである。 そうだとすると、次のような仮説を立てることができる。 信者たちは、空間に関しては、それが閉じられているということを、ほとんど唯一の、しかし決定的な関心事としていたのではないか、と。 さらに、こうした空間感覚を、オタクの全般的な特徴と見なすことができる。 
  たとえば、パソコン雑誌の、 「お宅訪問」 といった類の記事は、その世界の 「カリスマ」 の自宅を訪問し、インタヴューするものだが、そこではたいてい、ハイテク機材にあふれかえり、凄まじく雑然としている、閉じられた空間がフィーチャーされている。 
  秋葉原の建物には、共通の傾向がある。 それらは、オウムのサティアンのように、きわめて窓が少ない、箱状の建物なのだ。 透明なガラスを多用した、澁谷の建築物と対比させてみるとよい。 「オタク=お宅」 という名称には、最初から、オタクの本質への直感が伴っていたのではないか。 
大澤真幸 『不可能性の時代』





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