2009年03月02日

No.0309 『透明な存在』

   1997年に起きた、神戸市須磨区での連続児童殺傷事件。 犯人は、犯行声明を通じて、自らを 「酒鬼薔薇聖斗」 と名乗った。 彼は、十四歳の 「少年A」 だった。 (中略) Aは犯行日記とも呼ぶべき手記を書いており、それによると、一連の犯行は、 「バモイドオキ神」 なる私的な神への儀式でもあった。 (中略) 神戸新聞に送った犯行声明文の中で、Aは、自らを 「透明な存在」 だとする。 「ボクがわざわざ世間の注目を集めたのは、今までも、そしてこれからも透明な存在であり続けるボクを、せめてあなた達の空想の中でだけでも実在の人間として頂きたいのである」。 「透明な存在」 とは、他者たちの視線が及んでいない者という意味である。 Aは、透明な存在から脱しようと欲している。 たとえ、それが彼を犯罪者として追求する、否定的なまなざしであったとしても、まなざしに捉えられている方が、透明な存在でいるよりは、つまり無視されているよりはましなのである。 
大澤真幸 『不可能性の時代』





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