2009年02月26日

No.0302 『シニフィエとしてのアイデンティティ』

   他者のまなざしが地獄と化すのは、それが、まなざされた人間を、表相性を介して、総体として規程するからである。 表相性とは、直接的には、身体の上に現れる諸特徴、容姿・服装・持ち物・仕草・趣味・言葉 (方言) 等であり、さらに、書類上に記載される抽象的な属性、出生・出身地・学歴・肩書等である。 こうした諸特徴をシニフィアン (記号) とした、シニフィエ (意味) として、その人物が何者であるかが、その人のアイデンティティが、結局は、その人物の社会システムの内部での位置 (役割や階級) が読み取られ、推測される。 読み取られた者にとっては、そうしたシニフィエとしてのアイデンティティは、容易には脱しがたい拘束として機能する。 そして読み取られたアイデンティティの内容が、社会的に共有された 「理想」 としての生との相関で、負の意味を担っているとき、要するに 「貧乏人」 や 「脱落者」  「田舎者」 といった諸意味を含んでいるとき、そう意味づけられた人間には、 「理想」 への接近が構造的に阻まれる。 このようにして、都市の他者たちのまなざしが、理想の生への道を閉ざす地獄へと転ずる。 
大澤真幸 『不可能性の時代』





検索用kwd:
posted by Vigorous at 22:05 | TrackBack(0) | 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
カテゴリ



注意
◆ このブログの内容は引用が中心ですが、知識の切り売りを目的としたものではなく、投稿者の備忘録として作成されています。皆さんは、ここに書かれた引用のみで満足することなく、なるべく原典に触れる習慣をつけてください。
◆ このブログでは、投稿者が独自に調査したデータや、知人から伝え聞いたエピソードなどが掲載されることがありますが、そのまま受け売りにせず、皆さん自身が事実関係を調査し、記事の真偽を見極めることができるように努力してください。
◆ ここは金言や名言を羅列することを目的にしたサイトではありません。どんな金言や名言も、羅列したとたんにただの展示物になってしまいます。長い引用も短い引用も、じっくり噛み締めて味わい、あなたの財産にしてください。アーカイブも一度にすべて読むのではなく、毎日少しずつ読むようにすると良いでしょう。



QRコード

リンク集
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。