2009年02月18日

No.0286 『憶病が勝』

   フランス革命の恐怖時代が終わったとき、生き残った政治家はその都度すばやく節を曲げて首をつないだ抜け目無い憶病者だけだった。 人が集まって組織を作る場合には、勇気よりも臆病風を吹かせる方が勝ちになるらしいビジネス、学校、精神病院等の長になる連中の十中八九までは、独自の考えを堂々と述べる人間よりも自分の言いなりになる胡麻擂りを好むものである。 世の中は万事がこんな具合なので、社会の殆ど全ての分野において指導者になっている人間は憶病者として修行を経た者であり、一方正直で勇気ある人は貧民収容所か刑務所に行かなければお目にかかれない。 
  人と協力する際には三つの理由がある。 一つには、相手を愛するからであり、二つには、相手を恐れるからであり、三つには、不正な利得にあずかりたいと望むからである。 これらの三つの動機は人間のそれぞれの分野においてそれぞれ異なった意義を持つ。 第一の動機は生殖を支配し、第三の動機は政治を支配する。 銀行の経営者から尊敬され、友人や隣人の尊敬を受け、市民はかくあるべしの模範と世間で見なされて聖者に祭り上げられて死にたいと望む人への私の忠告は、次のようなものである。 自分の意見を述べずに上司の意見を述べよ。 自分で良いと思う目標を実現しようとしないで、大金持ちが肩入れした組織が目指す目標の達成に努力せよ。 個人的な交友では、できれば権力を持った人達と、もしそれが叶わなければ、将来権力を持つと思われる人達を選べ。 このようにすれば、社会のすべてのお歴々に受けが良くなる。
  以上述べたことは常識的な助言であるが、私としてはこんなものに従うくらいなら死んだ方がましだと思っている。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





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posted by Vigorous at 21:26 | TrackBack(0) | 指導者、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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