2009年02月12日

No.0274 『左翼はなぜ勝てないのか』

   非典型労働者の排除や周辺化の「責任」は、トータルな社会構造にある。とすればここにひとつの疑問が生ずる。非典型労働者の増大は、なぜ、左翼勢力の拡大につながらないのか?
  左翼は、「戦争被害者、在日外国人、女性、フリーター・・・・」といった弱者を次々と見つけ出し、それら弱者に同情し、同時に弱者差別を批判する。問題は、こうした弱者への同情が、常に「安全な場所」からのみ発せられているということである。自分自身は弱者の渦中にはいない限りで、つまり弱者に真に近づかない限りで、弱者の味方になろう、というわけである。「同情」が、むしろ、弱者との間の安全な距離を保障している。左翼は、弱者を「応援」することで、自分自身の善き心、麗しい魂を確認し、ナルシスティックに陶酔しているように見えるのだ。
  今日、フリーターやニートの自尊心を傷つけているのは、彼らが、いつでも、誰とでも交換可能な小さな部品に過ぎない、という扱いを受けるからである。だが、これは、資本主義的な普遍化の作用のきわめて素直な実現にほかならない。左翼を困難に陥れている究極の原因は、結局、資本主義を上回る実効的な普遍性を提起できていないからである。
  資本主義のこうした容赦ない力を実感するためには、もう一度、中国に目を向けるのがよい。
  中国の現状が教えることは、資本主義は、権威主義的な権力と結合しても問題なく動く機械だということだ。資本主義の普遍性は民主主義のそれを凌駕しているのである。この不気味な現実に、どう対抗したらよいのか。
大澤真幸 『左翼はなぜ勝てないのか』
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/sayoku.htm





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