2009年02月09日

No.0268 『技巧礼賛』

   われわれはけっして美しいとは言えない家を建て、その中でただ栄養をつける食物をとり、愛情もなしに子供を作っては、彼らを自発性と優美さを破壊する教育にゆだねる。 ものを作る過程に喜びがある場合には必ずスタイルが生じ、したがって生産活動自体が自ずと美的内容を持つに至る。 しかし、人間が機械に同化して仕事の結果のみを重視してそれ自体を軽蔑するならば、スタイルは姿を消す。機械に同化した人間にはしっくり来るかもしれないが実際にはずっと野蛮なものが、それに取って代わる。 このような事態は人間が機械化されるにつれて避けられない不幸であろうか。 私はそうは思わない。 われわれは今までにあまりにも仕事にふりまわされてきて、肉体的および知的労働の束縛からの解放の手段として機械を十分に活用してこなかった。 我々はその気になれば、もっと余暇を持てる。 我々はその気になれば、我々の子供達を、組織の中の便利な歯車にしてしまわないで、彼らの衝動を芸術的に表現できるように教育することもできるはずである。 われわれがそうしないのは、われわれは美よりも力に愛着するからである。 しかし、ひたすら力のみを追い求めることが、幸福になれる最良の策であろうか。 人間は他にいろいろな要素があり、それらは少なくとも力と同等に尊重すべき価値を持っている。 機械時代が人間性の他の諸要素にもしかるべき位置を与えるようになるまでは、新しい文明は本当に健全だとは言えない。 
B.Russell 『人生についての断章』 (部分抜粋) 転用者は必ず原典を確認のこと!





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