2009年02月08日

No.0266 『澄明さと美の極致』

   私はいま崖っぷちに立っている。 それが感じられる。 みなは、こんなペースでやっていたらまいってしまうと考えているが、彼らが理解していないのは、私が、かつてその存在を知らなかった澄明さと美の極致に生きていることである。 私のあらゆる部分がこの仕事に波長を合わせている。 昼間はそれを毛穴に吸収し、そして夜は・・・・・眠りに落ちる寸前に・・・・・さまざまな着想が花火のように頭の中で炸裂する。 問題の解がとつぜん浮かび上がることほど大きな歓びはない。
  この沸きたつエネルギー、私がなすことすべてを満たすこの熱意を奪いさってしまうようなことが起きるなどとは信じがたい。 それはあたかもこの数カ月に吸収したすべての知識が合体して私を光明と英知の高みへと引き上げてくれるかのようであった。 これは美で愛であり、真であり、それらがすべてひとつになったものだ。 これは歓びである。 それを発見したいま、どうしてそれがあきらめられようか? 人生と仕事は人間が所有しうるもっとも素晴らしいものだ。 私はいま自分がしていることに熱情を感じている、なぜならこの問題の答は、ここに、この私の頭の中にあるからだ、そしてまもなく・・・・・もうすぐに・・・・・それは意識の表層に噴出するだろう。 われをしてこのただひとつの問題を解かしめよ。 それが私の望んでいる答であるようにと神に祈る、よしんばそうでなくとも、いかなる答も私は受け入れ、与えられたものに感謝を捧げるようつとめよう。
ダニエル・キイス 『アルジャーノンに花束を』 (小尾芙佐訳)





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