2009年01月19日

No.0226 『教師の傲慢、研究者の背伸び』

   私はどこのどういう人間なのか? 今の私は人生の総計なのか、それともこの数ヶ月の小計なのか? 私がそれについて彼らと論じあおうとすると、おお、彼らはなんといういらだたしげな表情になるのだろう。 彼らはわからないということを認めたがらない。 ニーマーのような凡庸な人間が、おこがましくも人間を天才に仕立てることに熱中するというのは逆説めいている。 彼は学習に関する新法則の発見者・・・・・心理学のアインシュタイン・・・・・と目されることを望んでいる。 それから、生徒に追いこされるのではないかという教師の恐怖、弟子が自分の研究に懐疑的なのではないかという教師特有の恐れをいだいている。
  巨人のあいだで竹馬に乗って歩きまわっているのがばれるのではないかというニーマーの恐れはわかるような気がする。 この時点での失敗は彼を破滅させるだろう。 出直すには歳をとりすぎている。
ダニエル・キイス 『アルジャーノンに花束を』 (小尾芙佐訳)





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