2009年01月14日

No.0216 『自然と人間の媒介関係』

   人間のお互いが、差別や抑圧のない、つまり相手に対して膨張的でないような関係を築きえない限り、自然に対しても、破壊的、膨張的であることをやめることはできない、ということに帰結するでしょう。 同様に、自然に対して、膨張的でない関係を築きえない限り、社会もまた、抑圧や差別から自由ではありえないと考えられます。 人口膨張による生産活動の肥大から自然の膨張的利用が発生するという図式の論者は、現在の社会が、何ゆえに人口や生産活動の生態系との関連における管理がなしえないか、という視点を欠いているようにように思えます。 差別や抑圧の関係のもとでは、そのような操作は、人間の他の人間に対する強制というかたちしかとりえないのです。 一方、人間相互の関係の視点を欠いて、生態系モデルに解答を見出そうとすれば、人と人との関係の開放といった方向は見えてこないでしょう。
  人と人の関係、人と自然との関係をこのような視点から総合化する方向に、今後知のあり方が向いていかなければならないのではないでしょうか。 人と人との差別と抑圧のない関係にとって、自然はどのように媒介されるのか、逆に、望ましい人と自然の関係にとって、人間相互の社会的関係がどのように媒介されるのか、これらの問題の具体的な研究が、これからの科学や技術の方向の枠組みとなるべきだと考えるわけです。
高木仁三郎 『科学は変わる』





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