2009年01月13日

No.0213 『衝動殺人犯と連続殺人犯』

   賢さについては、脳から判別していくのは非常に難しいのですが、他方、昨今問題になっている「キレる」という現象については、実はかなり実験でわかってきています。 結論から言えば、脳の前頭葉機能が低下していて、それによって行動の抑制が効かなくなっている、ということなのです。 キレやすい脳ということについていえば、べつに日本だけで問題になっているわけではありません。 アメリカでの調査によると、衝動殺人の犯人の脳を調べてみると、皆、前頭葉機能が落ちていたそうです。 これはつまり衝動殺人犯というのは脳から見て抑制が効いていない、我慢が出来ない人だ、ということです。
  反対に、連続殺人犯は前頭葉機能が落ちていない。 考えてみれば、警察に捕まらずに犯行を続けられるということは、判断力は正常じゃないといけないから当然です。
  では、連続殺人犯の方はどこが普通の人間と比べて違うかというと、扁桃体といって、善悪の判断等にかかわる部分の活性が高い。 そこが活発に動いているのです。  (中略) 
  こうした研究には危ない面がある。 つまり、社会的に危ない行為だ、と問題視される可能性があるのです。 例えば容易に想像できるのは、仮に犯罪者の脳を調べて、そこに何らかの畸形が認められた場合、彼をどう扱うべきか、という問題が生じてきます。 連続幼女殺害犯の宮崎勤被告は3回も精神鑑定を受けている。 彼の脳のCTをとってみたほうが分かることだってあるのではないか。  (中略) 
  宮崎勤みたいな犯罪者が今後現れるかどうかわかりませんが、出ないとは限らない。 すると、同じような脳の持ち主に対して、警告したり、再教育することができる。 あえて言えば、、見張ることもできるのです。 こうしたやり方については様々な問題が想定され、批判されることにもなるでしょう。 例えば、入社試験で脳を測定されてはねられた、訴えてやる、というケースが出てくるかもしれない。 しかし、そうした問題があるからといって、できないと早々に判断すべき問題でもない。  (中略) こうした調査を本当に実施するかどうかは別として、議論できるということ自体が健全なことだと思うのです。
養老孟司 『バカの壁』





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posted by Vigorous at 21:41 | TrackBack(0) | 論理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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