2009年01月11日

No.0209 『精神遅滞者も人間だ』

   恩知らずに聞こえようが、私がここで憤懣やるかたないのはそれなのだ。 つまり私をモルモット扱いにする態度である。 現在のような私を作りあげたという、あるいは将来、私のような人たちも本当の人間になれるというニーマーの口癖である。
  彼が私を創造したのではないという事実をどうしたら理解させられるだろう?
  精神遅滞者にも人間の感情があるのだということを理解しないがゆえに彼らを見て笑う人々と同じ過ちを、ニーマーも犯しているのである。 私がここへ来る前も人間であったことを彼は認識していない。
  私は怒りを抑制すること、性急にならないこと、待つということを学んでいる。 成長しつつあるのだと思う。 日を追って、自分のことがよくわかってくる。 さざ波のようによみがえりはじめた記憶はいまや、怒涛となって襲いかかる・・・・・・
ダニエル・キイス 『アルジャーノンに花束を』 (小尾芙佐訳)





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