2009年01月04日

No.0196 『科学と人間、人間相互の関係』

   核融合は、多様な希少元素に依拠した技術です。 「無尽蔵」といわれるゆえんは、主たる燃料である重水素が海水中に存在することにありますが、海水中から多量に重水素を取り出すのも容易なことではなく、エネルギー収支的にも成算のあるものなのかどうか疑問です。  (中略) ほんの数カ国の "先進国" が、本格的な核融合の発電を実現化するようになれば、リチウムは底をついてしまうはずです。 リチウムだけではありません。
  核融合の安全上の問題はさておくとしても、この技術は、世界中の人々が平等にその恩恵にあずかることを前提としていない、むしろ不平等を前提としているともいえるのです。 「無尽蔵のエネルギー源」を追い求めようとする科学者が、その 「無尽蔵さ」(それ自身、幻想に過ぎません) が実は、人と人との不平等を暗黙のうちに前提としているということにほとんど無自覚であるという状況が、現代科学の一つの側面を表しています。 この問題を突き詰めていけば、科学技術の自然への依拠の仕方と、人と人との関係 (社会的な関係、国家的な関係) との間にある密接な関連性という問題に行きあたらざるをえないようです。 さらにいえば、これは、自然と人間と人間相互の関係とが、不可分のものであることを示唆するものです。 その相互がお互いにどのような媒介関係にあるのかを明らかにすることが、科学の行方を考えるうえでの核心の問題とも思えます。
高木仁三郎 『科学は変わる』





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posted by Vigorous at 20:30| 自然科学、環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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