2008年12月31日

No.0187 『巨大科学の4つの問題点』

   巨大科学の問題点を考える場合には、大きく分けて四つぐらいの側面からアプローチする必要があると思われます。
  その第一は、その扱うべき対象が巨大になり、旧来の実験室的な実証性にはもはや依拠しえなくなった故の問題です。 大型電算機の導入は、計算能力だけを不調和に増大するという効果により、非実証的な巨大化の傾向を加速しました。
  第二の側面は、科学研究が巨費を要するようになったため、研究費を確保できるか否かが科学者の死活を制するようになり、そのことによって研究の方向づけが決まってしまうということです。 研究が研究費によって支えられるという風潮下にあっては、研究を支えてくれるのは研究費の分配に直接権限を持っている政府や官僚、政治家、大資本であり、その利害に忠実になるのが一番賢明だという考え方生き方が、知らず知らずのうちに身についてきます。  (中略) 
  第三は、巨大さの度合いに応じて、個人の担う役割が細分化され、機会のひとコマとなった人間は、その全体性や意味について、充分に見通すことができなくなるということです。 さらに、マシンに振り回されることによって、人間性をすり減らしていきます。
  私が特に強調した第四の側面は、科学研究の産物が、一人一人の人間にとって巨大なものとなり過ぎた、という点です。 必ずしも巨費を投じたものでなくとも、たとえば遺伝子工学にみられるように、そこから生まれる発明・発見の影響は、人類全体の歩みを変えかねないほどの影響を持つ事柄があまりにも多くなりました。 科学的知識の増大・強化は、一科学者の研究成果が、そのまま人類の存続に影響を及ぼすようなレベルにまで及んでいますが、その研究が生みだされる実験室・研究室は、相変わらず少数の科学者の私的な砦であるという基本的な性格を変えていません。 そこから深刻な問題が生まれてくるように思えます。
高木仁三郎 『科学は変わる』





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posted by Vigorous at 15:48| 自然科学、環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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