2008年12月30日

No.0185 『人間は変わり、情報は不変である』

   「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して待つべし」 という言葉が『三国志』のなかにあります。 三日も会わなければ、人間どのくらい変わっているかわからない。 だから、三日会わなかったらしっかり目を見開いて見ろということでしょう。 しかし、「人間は変わらない」、と誰もが思っている現代では通用しないでしょう。 刮目という言葉はもう一種の死語になっている。
 いつの間にか、変わるものと変わらないものとの逆転が起こっていて、それに気づいている人が非常に少ない、という状況になっている。 いったん買った週刊誌はいつまで経っても同じ。 中身は一週間経っても変りません。 情報が日替わりだ、と思うのは間違いで、週刊誌でいえば、単に毎週最新号が出ているだけです。
  西洋では十九世紀に既に都市化、社会の情報化が成立し、このおかしさに気が付いた人が既にいた。 カフカの小説『変身』のテーマがこれです。 主人公、グレゴール・ザムザは朝、目覚めると虫になっている。 それでも意識は 「オレはザムザだ」 と言い続けている。
  変らない人間と変っていく情報、という実態とは正反対のあり方で意識されるようになった現代社会の不条理。 それこそが、あの小説のテーマなのです。
養老孟司 『バカの壁』





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posted by Vigorous at 20:24| 論理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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